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ふるさと納税

事業者インタビュー マスミ鞄嚢

豊岡鞄で有名な豊岡市。
その中でも、「マスミ鞄嚢」は創業100年を超える老舗です。
大正5年に創業、豊岡初となる「箱型鞄」の製造を行って以来、現在もアタッシュケースやスーツケースの販売を続けています。
今回はマスミ鞄嚢の植村賢仁社長に、伝統あるマスミ鞄嚢の鞄や豊岡鞄に対する思いを取材しました。

-今年で創業102年目、社長は現在で3代目なんですね。

はい。マスミ鞄嚢は、創業が大正5年。
創業者は神戸の生まれですが、豊岡に移り柳行李作りから始まったといわれています。
明治時代以降、生活様式が洋風になったのをきっかけに新素材が導入されました。
弊社は、ブリキよりも軽量のベニヤ版を使用したケースの製造を始めました。
実は、豊岡で初めて箱型鞄の製造を行ったのが弊社なんです。

1960年代からは、「マスミライン」というオリジナルデザインの海外渡航鞄の製造を開始しました。
東京オリンピックの聖火を運ぶケースや、現在の天皇陛下へ御外遊用船ダンスなどの製造にも携わってきました。

-長い歴史の中でこだわっていることを教えてください。

弊社の最大の特徴は、「木工部」があることです。
鞄製造会社で木工部があるのは国内でも唯一ではないでしょうか。

木枠から製造することで、軽くで丈夫なアタッシュケースが製造可能です。
また、使用する素材にも非常にこだわっています。

革や金具などは、フランスやドイツなどの最高級の素材を使用しています。
実際に手にとって、良いと思ったものだけを仕入れているので何十年経っても丈夫なんです。
また、高級な革は年々味が出てきます。

使い込むことでしか出せない風合いも楽しんでいただけます。
現在では、木枠と革を融合させて、革製品やインテリア製品なども展開しているんです。

-素材はもちろん、熟練の職人さんの腕あってこそですね。

はい、本当に良いものというのは「見えない部分」が大切です。
弊社の鞄は外見はもちろん、内部にもこだわっています。

例えば、木と革部分の接着部分。
木枠と革を縫い込む際、その部分が割れないようにしなければなりません。
他にも、ハンドルなど鞄の中で特に使い込む部分の補強なども徹底しています。
そうすることで、のびにくくほつれにくい鞄になり何十年と使い続けることができるのです。

弊社の鞄は手作業で行う部分が多いので、職人の腕の高さは大切です。
最近では、アルチザンスクール(兵庫県鞄工業組合が主催する鞄縫製学校)の卒業生が何人も活躍してくれています。

-何十年前の鞄が修理品として戻ってくることもあるそうですね。

そうなんです、最近では50年前の鞄が修理に届きました。
何十年も使っていただけているのは、非常に嬉しいですね。
ただ修理するだけではなく、どのようにして壊れたのか・原因は何かを突き詰めます。
そこから得たものを次の鞄作りに生かすようにしています。
修理品は次へのヒントなんです。
年々改良を続け、より良い鞄作りをしていこうと考えています。

-素晴らしいですね。やはり何十年も使っていただけることが一番のやりがいなんでしょうか。

はい、何よりのやりがいです。
親子三代で弊社の鞄を使用してくださるお客様もいらっしゃいます。
他にも、両親が長年使っていた鞄を形見として残したいから修理してほしいと言ってくださるお客様もいらっしゃいました。

お客様に寄り添う「一生もの」の鞄を作りたいと思いこの仕事をしているので、これほど嬉しいことはないですね。
値段は決して安くはありませんが、それだけのこだわりと思いが詰まっています。
修理を重ね、一生をかけて使っていただきたいと考えています。

-オーダーメイド品を注文したくなります!

是非是非!こちらのお店に来ていただくと、オーダーしてくださる方しか入ることができないオーダールームで注文していただけます。

種類豊富な革からお好みの色を選んでいただけるほか、どんな風に使われるのか・どのような点でお困りなのかをヒアリングし、あなたにぴったりの鞄をお作りします。
直接お店に来れない方でも、全国の百貨店でオーダー会を行っていますよ。

-今後の50年、100年に向けての思いを教えてください。

今後アタッシュケースやスーツケースのニーズが、いつまで続くかは正直わかりません。
ですが、例え数パーセントでもこの部分は残していきたいと思っています。
また、若手人材の育成も大切です。

若い人が働きたい!と思ってもらえる職場にしたいという思いから去年からこのお店をオープンしました。
アルチザンスクールからの採用も積極的に行い、熟練職人の技を後世に継承していきたいと思っています。

創業当時からの伝統を守り続けている、マスミ鞄嚢の鞄。
伝統を守り続けている秘訣は、高い技術を更に改良し続けていることにありました。
何十年も使い続けることができる、「一生もの」の鞄には、社長や職人の方の思いが詰まっています。

インタビュー・記事/佐原有紀

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